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地中海風の庭|リゾート外構のプロが教えるおしゃれな空間にする5つのポイント

地中海風の庭、素敵ですよね。

SNSで見かけるような、白い壁に明るい太陽が似合うリゾート空間に、憧れている方も多いのではないでしょうか。

 

でも、いざ自分の家で、となると「ただ鉢植えを並べただけ、みたいにならないかな?」「うちの庭は狭いけど、本当に雰囲気が出るんだろうか?」なんて、不安や疑問も湧いてきますよね。

この記事では、地中海風ガーデンの基本から、失敗しないための5つのポイント、さらにはメンテナンスのことまで、数々のリゾートガーデンを手がけてきた外構のプロが分かりやすく解説します。

 

この記事でわかること

  • 地中海風ガーデンってどんなもの?
  • 地中海風の庭づくりの考え方と5つのポイント
  • 庭の雰囲気を決める素材選びのコツ
  • そろえるべき植物やデザインアイテムの選び方

地中海風ガーデンの基本|3つの代表スタイルと特徴を知ろう

ギリシャのサントリーニ島、イアの村の象徴的な眺め。白い建物と鮮やかな青いドームの教会が崖に沿って並び、深い青のエーゲ海と火山カルデラが広がる。海には白いヨットが浮かんでいる。「地中海風の庭」と聞いて、どんな景色を思い浮かべますか? 白い壁、オリーブの木、爽やかな風……。

そのイメージは間違いではありませんが、実は地中海風リゾートガーデンにはさらにいくつかのスタイルがあり、それぞれ少しずつ魅力が異なります。

まずは、代表的な3つのスタイルと、「地中海風」が持つ本当の魅力についてお話しします。

ここではまず、あなたの理想の庭を具体的にするために、さまざまなリゾートスタイルの違いと、「地中海風」が持つ本当の魅力について解説します。

「地中海風ガーデン」ってどんな庭?ドライで明るいリゾートスタイル

地中海風ガーデンとは、南フランスやスペイン、ギリシャといった地中海沿岸地域の、乾いた夏と明るい日差しを感じさせる庭のスタイルです。

具体的には、こんな要素でできています。

  • : ギラギラした日差しを柔らかく反射する、白やベージュが基本。そこに素焼きのレンガ(テラコッタ)の温かい土の色と、空や海を思わせるブルーを少しだけ加えます。
  • 素材: 職人がコテで仕上げた塗り壁、天然石、レンガ、そしてアクセントに黒いアイアン(鉄)を。自然の素材が持つ、素朴な質感を大切にします。
  • 植栽: オリーブや柑橘類、ラベンダー、ローズマリーなど、強い日差しや乾燥に強く、爽やかな香りのある植物が中心です。

生命力あふれる植物が瑞々しく茂る、熱帯の「ウェットなリゾート」とは対照的に、カラッとした空気と、光と影のコントラストが美しい「ドライなリゾート」であることが大きな特徴です。

「地中海風」を代表する3つのデザインスタイル

「地中海風」という大きな枠組みの中にも、地域によって少しずつデザインの特色があります。

代表的な3つのスタイルは次の通りです。

プロヴァンス風(南フランス)|素朴でナチュラルな魅力
緑豊かな植物とピンクの花々に囲まれた、素朴な石畳の中庭に置かれた、白い錬鉄製のテーブルと椅子。

南フランスの田舎町を思わせる、素朴で温かみのあるスタイルです。

軽い凹凸のある塗り壁や石材、ラベンダーやローズマリーといったハーブがよく似合います。

可愛らしく、ナチュラルな雰囲気が好きな方におすすめです。

ギリシャ風(エーゲ海)|白と青が織りなす爽やかなコントラスト
白い壁の建物に、鮮やかな青いドアとシャッターが特徴的な、ギリシャの島々の風景。ピンクのブーゲンビリアがドアの上から垂れ下がり、屋外には青い椅子と木製の椅子、小さなテーブルが置かれている。エーゲ海に浮かぶ島々の風景を切り取ったような、爽やかでクリーンなスタイルです。

どこまでもつづく青い海と空に映える、白壁とブルーのコントラストが象徴的。

シンプルなデザインの中に、ブーゲンビリアの鮮やかな花色がアクセントとして際立ちます。

スパニッシュ風(南スペイン)|情熱的で華やかなデザイン
色とりどりの花が咲き誇る緑豊かな庭園に、ガゼボの下に置かれた籐のテーブルと椅子がある。手前には木製の小道と芝生が広がり、背景には格子状のフェンスに囲まれた植物が見える。

アンダルシア地方の、情熱的でリズミカルな雰囲気を持つスタイルです。

イスラム文化の影響を受けたアーチ状の開口部や、カラフルなモザイクタイル、そして黒いアイアン(鉄)の装飾などが特徴。

他のスタイルに比べて装飾性が高く、華やかな印象を与えます。

どこが違う?人気の南国風・西海岸風との特徴を比較

同じリゾート系ガーデンでも、人気の「南国風」や「西海岸風」とはどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの特徴を比較してみましょう。

  • 南国風(トロピカル)との違い 南国風がヤシの木やバナナリーフ、極彩色の花々といった熱帯植物が主役の「ウェットなリゾート」であるのに対し、地中海風はオリーブやハーブが中心の「ドライなリゾート」です。 湿度の高いアジアのリゾートというよりは、カラッとしたヨーロッパの夏のイメージに近いでしょう。
  • 西海岸風(カリフォルニア)との違い アメリカ西海岸のスタイルは、アガベやユッカといった多肉植物が主役になることが多く、地中海風よりもさらに「ドライでワイルド」な印象です。 色使いも、地中海風がテラコッタの暖色やブルーをアクセントにするのに対し、西海岸風はモノトーンやグレイッシュな色味でまとめることが多く、よりクールな雰囲気に仕上がります。

おしゃれな地中海風リゾート外構をつくる5つのポイント

気になるスタイルが見つかったら、次はいよいよ空間づくりの話です。

ここからは、どのスタイルにも共通して使える、空間の質を高める5つのデザインのコツを、具体的に解説していきますね。

1. 色|基本はアースカラー、アクセントは1〜2色に絞る

地中海風の雰囲気をもっとも簡単につくり出すのが、「色」です。

基本となる色の組み合わせや配分の目安を覚えておきましょう。

  • 基本は「白・ベージュ・テラコッタ」 地中海の強い日差しによく映える「白」、温かみのある「ベージュ」、そして太陽をたくさん浴びた土の色である「テラコッタ」。 壁や床といった面積の広い部分を、これらのアースカラーでまとめると、空間全体がパッと明るく、爽やかな印象になります。 特に、建物の外観が白やクリーム色の外壁にオレンジ系の明るい瓦屋根の場合、庭の色と自然に調和して、家全体で統一感を出しやすくなります。
  • 差し色に「ブルー・ターコイズ」を少しだけ 地中海の海や空を思わせるブルーやターコイズを、ドアや窓枠、植木鉢やクッションなどにポイントで加えると、リゾート感が一気に高まります。 配分の目安は「白 多め/土色 少なめ/青 ほんの少し」。 使いすぎると落ち着きがなくなるので、あくまでアクセントとして少量使うのが上品にまとめるコツです。

2. 素材|質感と雰囲気を決める3つの必須の素材

地中海風の質感を決める、重要な素材選び。

たくさんの素材がありますが、まずは「これさえ押さえれば大丈夫」という3つの必須アイテムがあります。

  • 【必須】塗り壁 地中海風ガーデンの象徴ともいえるのが、職人がコテで仕上げたような、温かみのある塗り壁です。 色は白またはクリーム色で、表面がツルツルではなく、少しザラザラしたマットな仕上げを選ぶと、光が柔らかく反射して美しい陰影が生まれます。
  • 【必須】レンガ 明るい赤茶色からオレンジ系のレンガも、白い壁との相性が抜群です。 庭全体に敷き詰めるというよりは、壁の下の部分や花壇の縁取り、アプローチの小道の見切りなどに少量使うと、空間が引き締まり、アクセントになります。 レンガ同士の隙間を埋める目地(めじ)は、白や薄いグレーを選ぶと清潔感が出ます。
  • 【必須】アイアン 門扉やフェンス、窓の格子、手すりなどには、黒やダークブロンズのアイアン(鉄)素材がよく似合います。 白い壁とのコントラストが美しく、空間に軽やかさと上質感をプラスしてくれます。 ただし、多用すると重たい印象になるため、視線が抜けるようなシンプルなデザインを選び、最小限の場所に取り入れるのがポイントです。 屋外で使うため、錆(さび)に強い加工がされた製品を選びましょう。

これらの必須アイテムに加えて、床面に天然石の乱張りや素焼きのタイルを使ったり、パーゴラやウッドデッキに木材を取り入れたりすると、より本格的で深みのある空間になります。

3. 植栽|乾燥に強く育てやすい定番4選

植物は、地中海風の庭に命を吹き込む大切な要素です。

乾燥に強く、日本の気候でも比較的育てやすい定番の植物から始めてみましょう。

  • オリーブ: シルバーがかった葉が美しく、地中海ガーデンのシンボルツリーとして欠かせません。
  • ラベンダー: 爽やかな香りと紫色の花が、プロヴァンスの風景を思わせます。
  • ローズマリー: 料理にも使える便利なハーブ。風に乗って運ばれる香りが、庭を心地よく満たします。
  • ブーゲンビリア: 鮮やかな色の花が、白い壁によく映えます。寒さに少し弱いので、暖かい地域向きですが、鉢植えで楽しむこともできます。

これらの定番植物に、ゼラニウムや多肉植物などを加えるのもおすすめです。

たくさんの種類を植えるよりも、品種を絞ってメリハリをつけると、すっきりと洗練された印象になります。

ちなみに、よく西海岸風の庭で使われるアガベは地中海原産ではありませんが、その彫刻的なフォルムから、地中海風の庭のアクセントとして取り入れられることもあります。

4. 家具・アイテム|「過ごす庭」に欠かせないもの

色、素材、植栽という基本が整ったら、次は庭での過ごし方を豊かにするデザインアイテムを選んでいきましょう。

  • 日除けと陰影をつくる パーゴラ(藤棚のようなもの)やアーチを設置すると、庭に立体感と心地よい木陰が生まれます。 白く塗装した木材や、アイアン製のものを選ぶと良いでしょう。 より手軽に日差しを避けたい場合は、オーニングやパラソルが便利です。 色は壁の色と合わせた白やベージュ系で統一感を。 風で飛ばされないよう、固定はしっかりと行いましょう。
  • 水の演出を加える 必須ではありませんが、小さな噴水や壁泉(へきせん)、水を張っただけのウォーターボウルなどを置くと、水の音が涼しさを演出し、リゾート感が一層高まります。
  • 家具・雑貨・照明で仕上げる ラタン(籐)調のガーデンファニチャーセットや、素焼きの植木鉢(テラコッタポット)、夜の雰囲気を演出するランタン風の照明などを配置すれば、庭はもう一つのリビングルームに。 お茶を飲んだり、読書をしたり、家族や友人と食事を楽しんだり、庭で過ごす時間が特別なものになります。

5. 全体のバランス|「抜け感」と「おこもり感」のバランスをとる

最後に、これまで選んできた色、素材、植栽、アイテムを、一つの空間として調調和させるための「全体のバランス」についてです。

ポイントは、「非日常感」と「リラックスできる落ち着き」を両立させること。

すべての要素を華やかにするのではなく、空間全体はシンプルに整え、アクセントとなる要素を1〜2箇所に絞ると、上品で洗練された印象に仕上がります。

例えば、「アイアンの門扉を主役にする」「鮮やかなブーゲンビリアの鉢をフォーカルポイントにする」といった具合です。

どこまでを自分たちで楽しみ、どこからをプロに任せるか、という役割分担も大切です。

壁塗りやタイル張りといった専門技術が必要な「骨格」の部分はプロに任せ、日々の飾り付けや季節の植物の追加は自分たちで楽しむ、というように分担すると、庭づくりがよりスムーズで楽しいものになるでしょう。

地中海風の庭づくりQ&A|よくある質問にプロが回答

水色の背景に置かれた、白く立体的な「Q & A」の文字。質問と回答(FAQ)や問題解決の概念を表している。理想の庭のイメージが具体的になってきた一方で、「うちでも本当にできるのかな?」なんて疑問も出てきたかもしれませんね。

ここでは、よくあるご質問にお答えしていきますね。

Q1. 狭い庭やベランダでも地中海風にできますか?

はい、もちろんできます。

狭い空間の場合は、フォーカルポイント、つまり「一番の見せ場」を一つに絞るのがうまくいくコツです。

例えば、「お気に入りのタイルを貼った壁面」や「シンボルとなる鉢植え」など、主役を決めて、その他はシンプルにまとめると、狭さを感じさせない、まとまりのある空間になります。

また、壁にツル性の植物を這わせたり、背の高いスリムな植木鉢を使ったりと、縦の空間を意識すると、広がりを演出できます。

Q2. 白い塗り壁は汚れやすい?メンテナンス方法を教えて

確かに、白い壁は汚れが目立ちやすいという側面はあります。

しかし、最近では汚れを防ぐための技術も進んでいます。

雨で汚れを洗い流すセルフクリーニング機能を持つ塗料や、汚れの付着を防ぐ撥水性の高いトップコートなどを施工時に選ぶことで、美しさを長く保つことができます。

また、地面からの雨水の跳ね返りが汚れの主な原因になるため、壁の足元にレンガを積んだり、砂利を敷いたりする設計上の工夫も役に立ちます。

年に一度、ホースの水で優しく洗い流すといった簡単なメンテナンスで、きれいな状態を維持できます。

Q3. 予算の優先順位の付け方も知りたい

庭づくり全体の予算を考える際は、まず「骨格」となる部分から優先的に費用を配分するのがおすすめです。

  • 優先度 高: 床(タイルやレンガ)、壁、フェンスなど、一度作ると簡単には変更できない部分
  • 優先度 中: シンボルツリーや低木など、庭の印象を大きく左右する植栽
  • 優先度 低: ガーデンファニチャーや鉢植え、小物など、後からでも追加・変更できる装飾

例えば、まずは床と壁だけをプロにしっかりと施工してもらい、植栽や飾り付けは少しずつ自分たちで楽しみながら加えていく、という段階的な計画もできます。

また、一度にすべてを完成させなくても、数年かけて段階的に理想の庭を育てていく、という計画の立て方も素敵だと思います。

Q4. アイアン素材は錆びる?

鉄である以上、錆のリスクはゼロではありませんが、現在のエクステリア用のアイアン製品は、錆を防ぐための入念な下地処理が施されています。

一般的には、亜鉛で鉄をコーティングする「溶融亜鉛メッキ」という錆に非常に強い処理の上に、塗料を焼き付ける「パウダーコート」で仕上げられているものが多く、長期間にわたって美観を保つことができます。

もし、使っているうちに傷がついてしまった場合は、市販の補修用塗料でタッチアップすれば、そこから錆が広がるのを防げます。

また、最近では錆びないアルミ鋳物を使った「アイアン調」のデザインフェンスなども豊富にあります。

Q5. 日本の気候(梅雨・冬)で失敗しないためには?

地中海沿岸は夏に乾燥しますが、日本は高温多湿の梅雨があります。

この違いを理解しておくことが大切です。

  • 湿気対策: 庭全体の風通しと水はけを良くすることがもっとも重要です。植物を植える際は、日当たりが良いだけでなく、風が通り抜ける場所に配置しましょう。地面の水はけが悪い場合は、土壌改良を行う必要があります。
  • 冬の寒さ対策: テラコッタの鉢やタイルは、製品によっては水分を吸って冬場に凍結し、割れてしまう「凍害」が起こることがあります。寒冷地の場合は、吸水率の低い、凍害に強い製品を選ぶようにしましょう。また、オリーブなど寒さに比較的強い植物でも、幼木のうちは幹に布を巻くなどの防寒対策をすると安心です。

まとめ|地中海風の外構は「アイテムの足し算」ではなく心地よい「空間演出」

ここまで、地中海風の庭をつくるための、デザインの考え方や具体的なコツをご紹介してきました。

ただ単に「それっぽい」アイテムを並べるだけでは、心から安らげる空間は生まれません。

色や素材、光と影のバランス、そして「抜け感」と「おこもり感」の構図。

これらすべてが調和すると、本物のリゾートと呼べる心地いい空間が生まれます。

この記事のポイント

  • 地中海風とは、乾いた夏と明るい日差しを感じる「ドライなリゾート」スタイル。
  • 美しく仕上げる鍵は「白・ベージュ・テラコッタ」のカラーコーディネート。
  • まずは「塗り壁・レンガ・アイアン」の3つの素材を軸に考える。
  • 植栽はオリーブやハーブなど、乾燥に強い種類から選ぶ。
  • 全体のバランスは「シンプルさ」と「アクセント」のメリハリが重要。

本物のリゾートガーデンとは、そこで過ごす時間が、あなたとご家族の毎日を豊かにしてくれる、かけがえのない場所。

だからこそ、私たちは単なる外構工事ではなく、あなたの暮らしそのものを豊かに変える「体験」をご提供したいと考えています。

「私たちのケースでも、理想の庭は実現できる?」

「まず何から考え始めたらいい?」

そんな漠然とした段階でも構いません。

もしあなたが本物のリゾート空間を求めているなら、ぜひ一度、私たちにあなたの理想の暮らしについてお聞かせくださいね。